由美:早速、須見さんが発見されたナットウキナーゼについて伺いたいのですが、どのような研究からナットウキナーゼを発見するに至ったのですか?未知の物を発見するということはどんな難しい研究をするよりも大変なことだと思うのですが・・・
須見さん:とても偶然だったのです。私は1978年から血栓の研究をする為にシカゴ大学医学部の血液研究所へ行ったんです。血栓を溶かす酵素を研究する大家がいる、マイケルリースリサーチファウンデーションという所ですが、そこで2年間研究をしました。その頃は住んでいる場所周辺はとても治安が悪かったですし、これまた評判の悪い地下鉄で毎日大学まで通っていました。でも研究に没頭できて、とても楽しい時でもありました。
由美:血栓ということは納豆とは全く関係のない研究をされていたのですね。日本食はアメリカでもよく食べられていたのですか?
須見さん:そうでもなかったですね。でもある日、なんだか無性に納豆が食べたくなりましてね、近くのお店に買いに行ったんですよ。でもネギがなかったのでベランダに置いておいた玉ねぎの発芽している部分を数cm切って、それを刻んでネギの変わりにしたんです。
由美:すごい発想の転換(笑)でもネギと同じような味がしそうですね。でもそのことがどうしてナットウキナーゼの発見に結びつくのですか?
須見さん:納豆を食べたその時、ふとひらめいたんです。血栓はタンパクで出来ている。大豆のタンパクを溶かす納豆菌は血栓のタンパクも溶かすのではないかと思い、アルミホイールに包んで、次の日研究室へ持って行ったんです。シャーレに人工的に血栓を作り、その上に納豆を乗せたところ、見事に血栓を溶かしたんですね。当時研究していた血栓溶解酵素では午後3時に実験を開始し、翌朝9時に血栓溶解酵素の周り約1cmくらいが溶けるんです。それが納豆の場合は午後3時にシャーレの真ん中に納豆を置いて、5時にさあ帰ろうと思ってシャーレを見ると、1cm以上溶けてるではないですか。これはすごいと思い翌朝9時に見ると、シャーレ全面が溶けていたんです。これは大発見!すごいテーマが見つかったと思いましたね。その後日本に帰り、いろいろとまとめて、1986年日本農芸化学会で納豆が血栓を溶かすことを発表したんです。それがNHKでも紹介されたんです。
由美:その発見が納豆ブームの火付け役となったのですね!!血栓を溶解するという点ではすでに多くの方に知られているイソフラボンもよく耳にしますがイソフラボンとは効果は異なってくるのでしょうか?
須見さん:どちらかというとイソフラボンはナットウキナーゼとの相乗効果で血栓を予防するという風にいえます。イソフラボンは血栓を溶かすというよりも、血栓を作るもととなる血小板の凝集を抑える強い効果を持っています。しかし血小板を抑制するだけでは本当の血栓予防という点では不十分です。ナットウキナーゼは血栓を溶かす強力な溶解能力を持っていますのでイソフラボンとともに作用することでより血栓を溶解する力を高めていく事が出来ます。
由美:本当にナットウキナーゼというのはすごい効果がある菌なのですね。でも強力というのはどの程度強力な菌なのですか?比較するものがないとなんとなく感じが掴めないのですが・・・。
須見さん:イエイエ違いますよ。ナットウキナーゼは酵素なんですよ。菌とはまた違うものなんです。ナットウキナーゼが強力と称することが出来るのはその安定性と効力、そして効力の持続性についてだということが出来ます。
由美:わぁ、たくさんありますね。
須見さん:はい。まずは安定性から。体内にはさまざまな消化液が分泌されることはご存知だと思います。酵素も当然のことながらその消化液で破壊されてしまうものがほとんどです。しかしナットウキナーゼは体内にある様々な消化液にも破壊されないという素晴らしい酵素なんです。強酸性である胃酸にもアルカリ性である腸内でも元気に働いてくれます。
由美:すごいですね、納豆が体にいいというのはこういう点からも分かってくるような感じがしてきます。ナットウキナーゼは体内の隅々まで元気にさせてくれるのですね。
須見さん:はい。でも食べる前に壊れてしまうことはあるんです。
由美:えっ、それはどういうことですか?
須見さん:ナットウキナーゼは熱に弱いという性質があるんです。ですから納豆チャーハンなどで納豆自体に直接強い熱を加えてしまうと体内に入る前に壊れる事もあるんです。
由美:それでは納豆をそのまま頂くのが一番良いということなんですね。良かった!!私は普通にご飯にかけて食べるのが好きだから特に心配は要らないです。でも本当に納豆ってすごいですね☆
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