−納豆は、食を彩る 主人公− >


第21回気仙沼大会《ダイジェスト版》
宮城県気仙沼市に194点が大集結。
第21回審査結果
日本一は愛知県の山下食品さん。

No90 20th鑑評会当日。早食い大会、納豆食堂、ねば〜る君!
No89 20th鑑評会前日。偕楽園に水戸黄門像。納豆記念碑にねばり丼。
No70 世界最小の納豆屋
毎日12個は至高の12個

No.164 ショートケーキ風ミニタルト
カラフルで可愛く出来ました☆
No.133 生ハムと黒豆のカナッペ
黒豆納豆が見事にマッチ!
No.117 シュー納豆
ブルーベリーと黒豆が絶妙☆













納豆文化村インタビュー
倉敷芸術科学大学
産業科学技術学部生命化学科 教授
学部長 須見洋行さん

インタビュアー:石井由美

後半では溶菌作用のあるリゾチームを中心に伺って行きたいと思います。

須見さん3 由美:先日、須見さんが発表されましたリゾチームについて教えて頂けますか。

須見さん:はい。リゾチームというのはどのようなものかご存知ですか?

由美:あまり詳しくは分からないのですが、口内炎などに効くという話を聞いたことがあります。

須見さん:そうですね。納豆の効果に抗菌作用があるということは昔から知られていました。江戸時代でさえも本朝食鑑という本に「毒を消す」と記載されていたほどです。江戸時代には今のように研究するようなことはありませんでしたから経験的にわかっていたんでしょうね。

由美:そんなに昔から納豆は健康のために重宝がられていたんですか!!でも「毒を消す」といわれるほどの効果があるなんてびっくりです。

須見さん:リゾチームとナットウキナーゼの相乗効果は想像以上の効果が期待出来るということなんですよ。

由美:これも納豆に限った効果といえるのですか?やはり他の大豆食品からはリゾチームは検出されないのでしょうか?

須見さん:全くないわけではありません。でも納豆のような高い効果が得られるものはないでしょう。先ほどお話した通り、納豆にはナットウキナーゼやその他沢山の成分が含まれていますからその効果は相当なものです。しかし、まだ私たちは何が作用して納豆菌がリゾチームなどの抗菌作用のある物質を生み出し、このような効果を持つのかということが正確にはわかっていません。私たちはその事についても研究を続けているんです。

由美:納豆は私たちの健康に大変いいということですね!!大豆は元々「畑の肉」だといわれている優秀な食品ですが、納豆菌とドッキングする事によって、よりすばらしい食品に変身してしまうなんて何だか不思議な世界です、すごく面白い!!

由美3 須見さん:それではリゾチーム発生の神秘についてお話しましょう。リゾチームはとても不思議な酵素なんです。リゾチームは人間の涙や唾液など色々なところにあるということは知られていました。しかし不思議なことに日本の伝統食である納豆からは一度も検出されたことがなかったのです。ところが今回納豆の中にもあることが分かったのです。

由美:どうして今までリゾチームがあるということが分からなかったのですか?

須見さん:正確には判断できませんがリゾチームが熱に弱いからということがいえると思います。それに加えて、ある特定の条件下、時間でのみ作られ、消失してします。また、PH6ぐらいで安定する酵素なので、アルカリ性の中でも酸性の中でも壊れやすいのです。そのような点で発見が今日に至ってしまったんでしょう。

由美:そうだったのですか。リゾチームが毒を消すというのはどういうことなんですか?

須見さん:先ほど言いましたが、リゾチームは人の涙や唾液、鼻汁など色々なところにあります。風邪を引くと鼻水が出るのは、殺菌のためにリゾチームが増殖されているからなんですよ。

由美:あーそうだったんですか!わかりやすいです。

掲示板 須見さん:リゾチームは細菌の感染に対する防御能力や免疫機能などに役立っています。リゾチームは溶菌酵素の一種で、細菌の細胞壁を加水分解して殺菌する力も持っているということが一番の特徴でしょうか。細菌に感染したときリゾチームを投与すると、細菌の細胞壁を分解、つまり溶かしてしまうという働きがあるんですね。

ビタミンKについて教えて頂きました→

由美:細菌の細胞壁を分解して溶かしてしまうわけですね。納豆にはいろいろな効能があるんですねー。

須見さん:そうですよ。納豆には最初にお話したナットウキナーゼやイソフラボン、それに抗菌作用のあるリゾチームなどが含まれていますが、でもそれだけではないんです。

由美:そうなんですか!!ぜひそのことについても教えてください。

須見さん:リゾチームは熱に弱いということをお話しましたが、同じ抗菌作用のある物質として熱にも強いジピコリン酸というものも納豆の中にはあるんです。

由美:ジ・ピ・コ・リ・ン・酸ですね。初めて聞く名前です。

納豆菌 須見さん:そうですか。数年前にO−157が猛威を振るったときに、納豆が抗菌性に優れた防衛食品として注目されましたね。その抗菌性の本体です。また、このジピコリン酸が含まれているということで第二次世界大戦のころには一種の抗生物質のようなものとして納豆を食べていた歴史があるほどです。

←粉末の納豆菌です。(超高価だとか)
由美:その効果を得るためには納豆をどのくらい食べなければいけなかったのですか?

須見さん:納豆100gに平均して約20mgのジピコリン酸が含まれていて、納豆1パック50グラムとすれば、ジピコリン酸が10mg摂取できますね。1パックで十分その効果は期待できると思います。

由美:それではジピコリン酸とリゾチームの両方を含んでいる納豆は非常に強い抗菌作用があるということなんですね。戦時中の傷ついた兵隊さんの体を納豆は一生懸命癒してくれていたんですね!!

須見さん:日本には納豆を1000年以上食べてきた歴史があります。日本人の健康に役立っている食品だと思いますね。

由美:ところで須見さんは血栓を通じ納豆を深く追求し続けたことによって納豆博士と呼ばれていますが、このことについてはどのように思っていらっしゃるのですか?

須見さん:納豆博士と呼ばれることについては研究の成果が評価された結果だと、嬉しく思っています。同時にもっともっと納豆について皆さんに知って頂きたいという気持ちがふつふつと湧いてきます。もっと皆さんの健康のために納豆の効果をわかりやすく伝えていきたいと思っています。また特に発酵産業は世界的にも日本の独壇場と言ってもいいと思います。是非、消費者の方に、また納豆を作り出している方々にも、もっと納豆の奥深さを知ってもらいたいですね。

chromatography 由美:須見さんの研究が日本中の、そして世界中の人たちの健康に大いなる貢献をしてくれている訳ですね。すごく素敵なお仕事!!

ビタミンKを分析中の
クロマトグラフィー→

須見さん:そう言っていただけるなんて光栄です。そうですね。これからの食生活は気をつけていかないと、本当に脳卒中や心筋梗塞などの血管が詰まることによって引き起こされる病気や、化学物質などによる現代の病気も増えていってしまいます。そうならない為にもよりいっそうの研究を進め、少しでも皆様のお役に立てればと願っております。

納豆に関して、ただただ“健康にいい食べ物なんだ”としか認識していなかった私にとって須見さんのお話はどれもこれもが驚きの連続でした。ナットウキナーゼやリゾチーム、ジピコリン酸、ビタミンKなどを大変わかりやすく説明してくださいました。
健康に関して気を使っているつもりでしたが、納豆を食べることがこんなにも体にいいだなんて、知らなかった事が悔やまれると同時に、すごい発見をした!!という嬉しいような得したような気持ちでいっぱいです。
でも一番驚いたことは、須見さんがとても優しく大らかでいらっしゃった事です。実は私、世界的に有名な納豆博士なのだから、ピリピリしていて気難しい方なのかな?・・・とちょっぴり思ったりもしましたが、その予想を嬉しいほどはずされた事に感激しました。
今日は大変お忙しい中貴重なお時間を頂きましてありがとうございました。これからも私たちの健康のため、そして納豆の神秘を探るため、研究頑張ってください。微力ながら応援させて頂きます。
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