−納豆は、食を彩る 主人公− >


第21回気仙沼大会《ダイジェスト版》
宮城県気仙沼市に194点が大集結。
第21回審査結果
日本一は愛知県の山下食品さん。

No90 20th鑑評会当日。早食い大会、納豆食堂、ねば〜る君!
No89 20th鑑評会前日。偕楽園に水戸黄門像。納豆記念碑にねばり丼。
No70 世界最小の納豆屋
毎日12個は至高の12個

No.164 ショートケーキ風ミニタルト
カラフルで可愛く出来ました☆
No.133 生ハムと黒豆のカナッペ
黒豆納豆が見事にマッチ!
No.117 シュー納豆
ブルーベリーと黒豆が絶妙☆













インタビュアー/沢口麻生
納豆文化村インタビュー

全国納豆協同組合連合会会長/野呂剛弘さん

インタビュアー:沢口麻生

今日は、2013年5月に新しく納豆組合の会長になられた鎌倉山納豆の野呂社長さんを訪ねて、鎌倉市腰越の鎌倉山納豆野呂食品本店にお伺いしました。
★組織が若返りましたね!
沢口麻生 麻生:今回、納豆組合の新会長になられましたが、随分若返ったなという印象をいろいろな方がお持ちのようです。

野呂会長:そうなんですかね。 外部の方から若返るといわれるのは良いことだと思っています。最近は日本だけではなく世界的にも、色々な方面で世代交代があるようですね。 鎌倉山納豆本社 元気があるとか前向きだななどと思われるのは悪くはないですよね。

鎌倉山納豆野呂食品本店→

麻生:野呂さんは今まで青年同友会委員長やPR委員長など、 納豆組合さんの中で重要な職務をされてきて会長になられたわけですから、いろいろな問題にも取り組みやすいでしょうね。

野呂会長:PR委員長や青年同友会委員長をやってきて、一緒に汗を流した仲間達にも手伝ってもらおうとも思っているんですよ。確かに委員長をやっていたので、どういう問題にどのように対応するべきかが分かっているので、やりやすいところがありますね。
★会長としての抱負をお伺いしてみます。
麻生:今回、会長になられて、何を最初に思われましたか?

社長と専務で3ショット 野呂会長:会長になってまず思ったのは、納豆組合としての組織の方向性についてですね。会長としてやって行く上で、方向性は大きく2つあると思ったんです。

麻生:大きく2つ・・・!?

←専務さんも入って3ショット!
野呂会長:はい、一つは会長になって組織を丸く収めて、滞りなくやっていくか。もう一つは、多少滞りがあっても新しい流れを作っていくか。この二つを考えた時に、諸先輩方が築きあげられた組織をベースにして、やはり新しい局面を作っていく時代になったのではないかと。だから多少滞りがあっても、しっかり前を向いて物事を一つ一つきちんと処していくことが大切だし、そうしていくべきだと思ったんです。

麻生:やはり守りではなく前進、という事ですね。もっと動きを生み出そうと!

野呂会長:会長という肩書きの重さを最近感じることが多くなりました。頑張らなきゃとその度ごとに改めて実感しています。やる気はすごくあるのですが、自信はと聞かれるとありますとは言いづらい(笑) もちろんけん引役を果たすのですが、色々な人の手助けとか協力を借りながら、組織として仲間と一緒に動くことを念頭に入れてやっていきたいと思っています。

★現在納豆業界が抱えている問題点は?
麻生 麻生:現在の納豆業界の問題点をどのように捉えられていますか?

野呂会長 野呂会長:まず業界全体の一番大きな問題点はデフレ状態、いわゆる価格面ですね。 少子化なども影響し人口が減り、また経済が低迷する中で、納豆の売り上げを伸ばす事は確かに難しい時代です。調べてみるとこの5年間で特売価格が17%も落ちているんです。

麻生:それってすごいですね。じわじわと下がってきて、気がつくと17%も下がっていた。

野呂会長:そうなんです、解りやすく言うと、5年前、100円で買えていたものが今は83円で買える。

麻生:17%も売価が下がると納豆メーカーさんとしては、利益面でもとても厳しいでしょうね。消費者にとっては価格が安い方が嬉しいのですが、商品の価値を下回るものまでは望んでいないのではないでしょうか。

野呂会長:売価が下がっているとはいえ、やはり自社の商品に自信を持って価格面で妥協しないというしっかりとした姿勢が大切なので、組合ももちろん頑張りますが、組合任せではない自助努力も欠かせません。

麻生:そうですね。こだわり納豆と言いながらも安売りしているケースもあるようですし、残念ですね。やはり手間暇かけた愛情深い納豆の価値をもう少し主張したいですね。

野呂会長:そうなんです。でも、同じ低価格帯の納豆を多種大量に並べているスーパーが多く、納豆本来の価値を選べない状態になっているんです。売り場がそうなっているので、納豆そのものの価値を考える事もなく値段だけで購入する人が多いと思います。私は、スーパーでも色々な価格帯の納豆を置いて、価値観やこだわりの内容の違いなどで選べるようになればいいなと思っています。 こだわりの納豆を選ぶわくわく感やときめくような気持ちを持たせるような売り場の雰囲気や商品配列など、買い物がもっと楽しめるようになってもいいと思っているんですよね。

麻生:確かに。主婦の人たちは毎日買い物に行くわけですし、一般大衆的なものから高級なものまで揃っていると選ぶ楽しさがある買い物になって楽しいですね。

野呂会長:プラス数十円の安い贅沢、プチ贅沢感を消費者にも感じて欲しいですね。良いものはおいしい。何回も 食べたいと思ってもらえるように私達は努力していきます。

★会長になられて、これからどのような舵取りをされるのでしょうか?
事務所にて 麻生:一般的にはトップが代わると、組織全体も変わっていくとよく言われますね。

野呂会長:そうですね。そういう意味でもこれからは納豆組合の活動幅をもっと広げていこうと思っています。 厳しい時代ですから、もっともっと外に向かって消費者に訴えて行かないといけないですね。

麻生:消費者の方への意識付けが重要ということなのでしょうね。

野呂会長:展示会などをやっても一般の人はなかなか来ないので、一般の人にもっと来てもらえるような、参加型のイベントをすることも一つのやり方だと思います。

麻生:みんなで楽しめるイベントだと盛り上がりますからね。

野呂会長:楽しいイベントをするにしても、メーカーエゴを出さずに組合全体としてまとまってやっていかなければならないですね。

★近年、お米の消費量が落ちていますが、影響は・・・
麻生:最近食が多様化したとよく言われています。そのためお米の消費量が落ちていると聞きますが、納豆にも影響が出ているのではないですか?
事務所にて 野呂会長:日本人の食文化としてお米は欠かすことのできない存在ですが、近年お米の消費量が落ちているのは確かです。少なからず納豆の消費量にも影響があると思います。
麻生:やはりそうなんですね。欧米化の食文化になってきたとよく言われていますからね。
野呂会長:日本は食文化に柔軟で、街を歩けば和食だけじゃなくイタリアン、フレンチ、韓国料理など世界各国の料理が食べられます。世界の料理は日本人の口に合わせた料理にアレンジされて、皆が楽しめるようになっていますね。
麻生:料理本やグルメ本なんかもずいぶん出ていますし、特に若い人たちはお米から離れていっているみたいですね。
野呂会長:そうそう。家で食べるものも幅広くなっているし、珍しいものでも簡単に食べられる時代になってきてますね。
事務所で納豆を持って 麻生:まさに食文化の欧米化、多様化の時代ですね。
納豆を持って2ショット→

野呂会長:そんな時代の中で、お米の食文化をもう一度きちんと消費者に見直してもらえるように、色々なアイデアを出しながらやっていきたいですね。切り口の一つとしては「ご飯をメインとしたときに何が合うか」
麻生:ご飯といったら味噌汁。次に何かと言ったら、まず納豆! 他には漬物などもありますね。
野呂会長:そうですね。漬物、味噌などがありますね。これからは、ご飯に関わる異業種の方とも連携をとって盛り上げていきたいと考えています。
★漬物業界など異業種との連携について
麻生:ご飯に関わる異業種の方とも連携をとって盛り上げていかれる?
野呂会長:はい、ご飯の文化には納豆があり、味噌や漬物等もありますから、今までのように業界それぞれが活動するのではなくて、連携を取りながらやっていくことでお互いの良さをより高められるのではないかなと思います。 鎌倉山納豆本店売店にて ところで先日、漬物業界がT‐1グランプリというイベントをやったんです。
麻生:T‐1グランプリ!面白いですね。Tは漬物のTですか?
野呂会長:そうです。漬物の日本一を決めるT‐1グランプリは年一回開催していて、既に数回やっているようです。イベント自体も面白いなと思いましたし、漬物業界以外の大手食品メーカーや流通業者の協賛など外部のスポンサーがついていたこともすごいと思いました。来年2月に池袋のサンシャインシティーで開催されるようで、興味津々なんですよ。
麻生:そうなんですね。業界以外のスポンサーをつけてイベントができるのは強みですよね。
野呂会長:現状だと一気にはできないと思いますが、関連業界と協調しながら少しずつやっていきたいと考えています。
鎌倉山納豆本店にて
★組合の中での問題点・改善点について
麻生:業界全体としての問題点についてのお話をいただきましたが、納豆組合さんの中はどうでしょうか。
野呂会長:廃業される方、組合の活動から抜けるというメーカーさんが時々ありますが、こういうご時世だからこそ組合員みんなで力を合わせて納豆業界全体を盛り上げていきたいと思っています。
麻生:組合活動の意義をよく理解していただいて、みんなで盛り上げたいですものね。
野呂会長:組合の活動をうまく利用するというやり方も良いと思いますし、そういうメーカーもたくさんあります。組合に所属する事のメリットは必ず何かしらあると思います。組合としては、一般の組合員の方達との距離をもっと縮めるというのも課題ですね。
麻生:なるほど。そのためには会長として何が必要だと考えますか?
野呂会長:ひとりひとりに役割を担ってもらうのはどうかなとも思います。
鎌倉山納豆本店玄関前にて 麻生:確かに役割があると、意識やモチベーションが変わってきそうですよね。
野呂会長:また、会議でもしっかり意見を出し合って問題提起しながら、意思統一をしていかなければいけないと思っています。私は会議は対立や論争があってもいいと思っているんですよ。和気あいあいは会議の後の食事会でいいんです。
麻生:不況の世の中だからこそ、組合員さんの各会社が利益確保をしておくことも組合の活性化につながるのではないでしょうか。
野呂会長:実は先日、私どもの会社で納豆を作るのに1個いくらかかっているのか、どのくらい無駄になっているのかを非常に細かく見直したんです。そうすることによって、実は利益が出ていなかった商品を発見できたんです。
麻生:商品一点一点で、厳密な原価計算をされるってすごいですね。
野呂会長:こういうことを組合の全メーカーさんがやると、利益構造も変わるし、だいぶ変わってくると思うんですよね。
麻生:こういう時世だからこそ、利益をきちんと出すようにして体力をつけることが行動のベースになるのかもしれませんね。
本店でのインタビューの後、やはりお洒落な小町店さんにもお邪魔したいですよね。小町店は、鎌倉駅前から鶴岡八幡宮へ向かう、鎌倉を代表するショッピングストリート、小町通りのほぼ中央。「鎌倉」って感じの素敵なお店です。スナップ3枚でご紹介!
鎌倉山納豆小町店にて
鎌倉山納豆小町店にて
鎌倉山納豆小町店さんにて

鎌倉山納豆本店売店にて 《 麻生の感想 》
どんどん厳しくなってきている納豆業界。その置かれている立場や抱えている問題を、新会長としてどう捉え乗り越えられて行くのか。
様々な難しいお話も出るかもと思っていましたが、かなり前向きで、明るい野呂さんキャラがもうしっかりと出ていました!

今回のインタビューでは野呂さんの「自信はないけど、やる気はあります。」という一言がとても印象的でした。 みんなでやって行くぞとの気構えは、野呂さん持ち前の優しさと包容力で必ずや組織としてまとまっていくと思います。

また、ご飯関連の異業種とのコラボや消費者がもっと参加できるようなイベントを今後していきたいとのお話を伺い、受け身の姿勢ではなく、果敢にチャレンジしていきたいという会長としての意気込みが感じられました。

青年同友会委員長当時の仲間をはじめとして、人間関係をとても大切に考えられている野呂さん。 その素晴らしい仲間と力を合わせ、こだわり納豆の美味しさ、素晴らしさをより多くの人に知ってもらい、 多くの消費者に届けられるといいなと麻生も思いました。

日本の伝統食品の代表である納豆が日本だけでなく世界中に広まり、多くの人に愛され食されるように願っています。 納豆業界のこれからのますますの飛躍を期待し、心から応援しています!


納豆文化村 : 沢口麻生

今回のインタビュー取材時の写真は → こちら
5月に新会長になられた時の懇親会は → こちら


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